関裕二先生インタビュー(前編)
「異端の古代史」シリーズ著者:関裕二先生インタビュー
著者の関裕二先生に、本シリーズの見どころやポイントについてお話しいただきました。
Q0:『信濃が語る古代氏族と天皇 善光寺と諏訪大社の謎(祥伝社新書)』好調の様で、読者の方の反響はどうでしょうか?
本当にありがとうございます。お蔭様で、好調です。
善光寺のご開帳にあわせて、書き下ろさせていただいた本です。
ご開帳前に、出版しようとしたのですが、原稿が遅れて、開期中になってしまいましたが。(笑)
実は古代史のジャンルで、信濃からの視点というのはほとんど語られてこなかったんです。古代史研究家であり、大和書房などの創業で有名な大和岩雄さんが、『信濃古代史考』など書いておられていますが、それ以外の方はあまり注目されてらっしゃらないんですね。
でも、信濃には諏訪大社とか、善光寺とか秘密めいた寺社はたくさんある。その上、信州は交通の要所です。
ヤマトから関東に抜けるのは信濃川、千曲川、碓氷峠を下ってくるのが古代のルートです。だから物部氏も群馬県の北西側に拠点をつくるわけです。
そう考えると長野県はすごく重要です。
この本にも書きましたが、天武天皇も松本に宮をつくろうとしているんですね。
また信州は馬の産地でもありました。古代の人は高句麗の渡来人を信州で放牧に従事させているんです。特に、物部氏は河内から渡来人を長野に送っています。
善光寺の守屋柱は物部守屋の首を祀っています。河内長野の長野が長野の名称の始まりですし、信州と河内は歴史的に密接につながっているのです。
今まで古代史は、関西中心だったのですが、信州や関東にもすごい古代史が埋まっているよ、というのを詳らかにしたいですね。
Q1:ベストセラーズ刊『異端の古代史シリーズ』に関して、シリーズのコンセプトなどを教えてください。
入門的な古代史ではなく、どちらかというと通好みの作品をチョイスしました。
また、それぞれの取り上げるテーマにはこだわりを持っています。
中でも、『闇の修験道』(タイトル仮)はオススメです(9月刊行予定)。
異端の古代史は神道からさぐっていくシリーズなのですが、たどりつくのが、“修験道”なのです。
日本人の信仰は神道でひとくくりに出来ません。むしろ修験道のほうがしっくりきます。
一般大衆にとっての民俗信仰は修験道といっても過言ではありません。
梅原猛先生は日本人を考える上で、仏教をさけては通れないと仰ってますが、少し違う気がします。
どちらかといえば、仏教はドンドン日本化されていきました。代表的なのがお盆ですね。
あれは全く仏教関係ないですから、むしろ修験道などの考え方に侵食されていく歴史をたどるのが日本の仏教です。
明治の廃仏毀釈も実情は修験道つぶしですから。
ですから、日本人の信仰を知る上でのキーは修験道だと思います。
刊行ごとに、古代史をひも解くことで現在の日本の謎が解けていくはずです。楽しみにしておいてください。
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